洋書100冊☆

中国の母は強し

今、アメリカでとっても話題のAmy Chua氏。彼女が出した中国式エリート教育の本『Battle Hymn of the Tiger Mother 』(※彼女はたんなる回顧録であるといっているのですが、世間では教育本と取られているようです)が「スパルタすぎだ」「子供がかわいそう」と全米で大論争を引き起こしていて、TVでもちょくちょく彼女の顔を見る機会がありました。

そんな彼女がDCの本屋さんに来てスピーチ&サイン会をするというので、もちろん出席。カフェが併設でお気に入りの場所なのでスピーチもよく顔を出しているのですが、こんなに人が多いりなのははじめて!いつもは、近所のひまなおじいさん・おばあさん中心といった風情なのですが、今回はまさに老若男女のミックスで、学生さんも、赤ちゃん連れのパパママもたくさんいました。さすが教育立国、アメリカだけあって、みなさんご関心が強いようです。あとは、DCってアジア人の比率が低いのですが、よくこんなに集まったな~、というくらいアジア系の参加が多かったです。

で、どれだけ人が出ていたかというと:

まずは本屋さん入り口。

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小さな本屋さんなのに、人が多すぎて先が見えません。

遠慮がちに人並みをくぐり、お店の中ほどへ。

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・・・まだ見えません。

あきらめて、本読んでる人もいます。赤いシャツにめがねのお兄さん、方向違います。

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同じ店内なのにテレビモニター出動。よく見えませんが、下には人がいっぱいいます。

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やっと見えました!一番奥の、青い服を着た女性です。

大論争中の本だけあって、Q&Aセッションでは、好意的なものから敵意むき出しのものまでさまざまな質問が飛び交いました。中には「あなたの本は、今のチャイナブームを反映しているだけであって、あなた自身に注目が集まっているわけではない。1980年代、経済大国に日本に注目が集まっていたのと同じ現象だ。だいたい、アメリカ生まれ、アメリカ育ちのあなたに中国式教育の何が語れるのか?美化しすぎでは?」とくってかかる人も。しかしそこは大物の彼女、どんな質問も無難にハンドリングして、質問者は最後には彼女の意見をサポートする側に。本当に賢い人なんだなあと関心しました。

1時間のセッションが終わるとサイン会。わたしは下のカフェではじまったいつもの「あらびき団」的なOpen Micを見物していたのですが、40分後に会場に戻ってきたら、まだサインしてました(!)

ご興味のある方はぜひどうぞ。現在、米国Amazonで19位です。

『The False Friend』著者トーク会

こんばんはー。今日DCに戻ってまいりました。お昼過ぎにアパートに着いて5時間ほど寝たらすっきりしたので、予定どおり『The False Friend 』の著者トーク会に参加。

…って書いてたら今、著者のMyla Goldberg女史が1メートルくらい左を通っていきました。耳が隠れるショートカットにメガネ、茶色の襟付きピンクのカットソーに『ヴィーナスの誕生』みたいな絵巻物風膝丈スカート、白いタイツにストラップつきの乙女靴。元祖・オリーブ少女みたいなファンシーないでだちです。

彼女は、日本で映画も公開された『綴り字のシーズン [DVD] 』(『Bee Season』。しかも主演がリチャード・ギア×ジュリエット・ビノシュ)の著者だし、人気あるのかなと思ったら本屋さんの中に100席ほど折りたたみいすが並べられた即席会場は、半分ちょっとしか埋まってなかった。前回の『Super Sad True Love Story: A Novel 』の著者の回が満席+立ち見わんさか、だったのでちょっと拍子抜けしました。

(以下ねたばれありなのでご注意ください)

Q&Aセッションはほとんどがこの本のテーマである「子どものいじめ」について。いじめは昔からあったが最近はネット経由でいじめたりするのでいじめる側・いじめられる側の顔が見えなくなっていること、今も昔もいじめている側にはそんなに悪いことをしている意識がなかったりすること、子どもがいじめられたらどのような言葉をかけるべきか、などなど。

この作品でも、主人公の女性、Celiaが実は子供のころいじめっ子だったことが中盤になって周囲の知人の言葉から明らかになっていくのですが、Celiaは「えっ、わたしって、そんなにいじわるだったの…?」と思い悩み、弟に「ねえ、わたしっていじわるだった?」と聞く始末。いや、誰がみてもいじめだろう(それも悪質な)、って思うようなことを毎日執拗に失踪した同級生にしてたのですが、それを自覚するのはそのいじめられっ子が謎の失踪をしてから20年後。そんなに長い間自覚しないものかなあ。うーん。でも、自分がしたことよりもされたことのほうがよく覚えてるっていうからなあ。そうなのかも。

文章の書き方の理想は?という質問に対しては、物事の核心ずばりを直接的にそのまま書くのではなく、周りの登場人物に語らせるなどして、間接的にじわり、じわりとあぶりだしていく感じを目指している、と。『The False Friend』でも、同級生失踪事件の事実はあまり語られず、Celiaの話し相手である各登場人物が語る「20年前の記憶」が何パターンも提示され、それらを手がかりに読者が真相を想像する、という仕組みになっています。『藪の中』みたい。

あとは、「『蝿の王 』に影響されてません?」という質問も。答えは「ものすごく!子供のころ1回だけしか読んだことないけど、確実に作品に影響を与えてると思います」。

『蝿の王』は、大学のころ語学で隣だった席の男の子がずっと読んでて、「おもしろい?」と聞いたら「うーん、あんまり」。授業に毎回持参してて、進捗がはかばかしくなさそうだったのでほんとにいまひとつなんだろうなと思って今まで読んでなかった。今度読んでみようかな。

『綴り字のシーズン』では、スポットライトが当たる勝者側ではなくて、「敗者側」の子どもとそれを取り巻く大人たちの関係を書きたかったとか。アメリカでは小さい子どもたちの綴り字コンテスト(Spelling Bee)が大人気で、今でもTVでよくやってるんだけど、ひとにぎりの勝者の背後には当然ながら敗者側の子どもがおり、しかもそれが大多数。彼女は6歳と3歳の女の子のママなんだけど、子どもが日本で言うところの早生まれで、体が小さかったり、みんなよりうごきが遅くてからかわれて帰ってくると、「世の中には読むのが苦手な人、走るのが普通より遅い人、いろんな人がいるんだから、少しくらい生まれるのが遅かったからといってなんてことはないのよ」と言い聞かせているそうです。

アメリカっていうと子どものネガティブな部分は見なかったことにして、「あなたはここが素晴らしいからここを伸ばすべきよ!」とポジティブな面にのみフォーカスして押しまくるのみの教育してるのかなというイメージがあったけど、こういう影の部分をそのまま認めることによってサポートしてあげる人もいるんだなあ、と思いました。

『The False Friend』 by Myla Goldberg

こんにちは!家に帰ると寝てしまうのでお昼にCaribou coffeeで書こうと思い、マイPC持ってきたのですが、スピードがおそいー。結局おうちでアップすることになるのかなあ。とほほ。

と言ってたら、やっぱり編集が終わらなくて家で書いております。

さて、Powell's.comで購入した『The Paticular Sadness of Lemon Cake』のおまけとしてついてきた未発売本『The False Fiend』 by Myla Goldberg。やっと読み終えました~。

正確に言うと、「未発売本だった」本です。というのは、10月5日に発売開始されたからです。

肝心のストーリーは、20年前の子供のころ、よく遊んでいた女の子が森で失踪。その証言をした女子が主人公なのですが、実は過去の証言は真実とは異なる、という告白をしはじめ…というくだりではじまります。

この作品、読んだ後にレビューを見てみたら高評価だったのですが、20年も経ってからそんな大事なこと言いたくなるかなあ、私なら20年も黙ってられない…という思いが常に頭に浮かんでしまって、あんまり感情移入できなかった。あー、前の本ものめりこめなかったんだよなあ。でも、主人公のパートナーとの関係の距離感の描写はよかった。

著者のMyla Goldberg氏、なーんと近くの本屋さんで朗読&サイン会をするみたいなので、行くつもりです。ミーハー。でも、わたしのPowell'sでもらったおまけだから表紙にでっかく「Not for Sale」とか書いてあるんだよね…。これでもサインしてくれるんでしょーか。

あとは、最近あせって日本語の本を読んでいます。というのは、なんとなく500冊くらい本持ってきたけど、このままのペースでは帰るまでに全部読み終わらないことに気づいたから。仮に任期3年とすると、半年に85冊くらいのペースで読まないと!

・・・なんでこんなに持ってきちゃったんだろう。

【036】『グーグル革命の衝撃』 NHKスペシャル取材班 ★★★☆☆

短い記事のコレクションだと1個あたりの記事が浅い気が。

検索ロジックの説明のところはおもしろかった。

【037】『サイバージャーナリズム論』 歌川冷三ほか ★★★☆☆

アメリカだとすでに電子媒体しか発行してない新聞もありますしね。

【038】『松下幸之助 夢を育てる』 松下幸之助 ★★★★★

「私の履歴書」は下積み時代の話がおもしろいですね。自分で自転車用の電球を工夫して改良、売り歩いたくだりは感動します。あとは自社のサイクルを250年と考えるスケールの大きさ!

【039】『日本の技術は世界一』 ★★★☆☆

まだ「ものづくり」なのかなあ。もう、アイデア勝負の時代になってると思うんだけど。

【040】『アメリカ病』 矢部武 ★★★★☆

米国ライフル協会の影響力と武装集団にどきどき。

【041】『免疫学個人授業』 多田富雄 × 南伸坊 ★★★☆☆

先生の講義もいいけど伸坊さんの生徒としてのひらめきがさえてます。

【042】『心理療法個人授業』 河合隼雄 × 南伸坊 ★★★☆☆

「箱庭療法」の患者さんのアーティスティックな反応に感動しました。

【043】『すべては脳からはじまる』 茂木健一郎 ★★★☆☆

「酒やタバコをやめられない/おいしいものを食べたい」という気持ちと「音楽を聴きたい(などの趣味へのこだわり)」という気持ちが本質的には同じではないかとの問い。両方「中毒」という点ではそうかも。女帝の是非についての記事は「?」でした。

【044】『おもしろくても理科』 清水義範 × 西原理恵子 ★★★☆☆

やっぱりサイバラさんにはアマゾンとかにいってほしい。

【045】『在日』 姜尚中 ★★★★☆

壮絶な人生だなあ。というか、姜さん、やっぱかっこいい~!

【046】『中国人の愛国心』 王敏 ★★★★★

なぜ中国人が「歴史」にこだわるのかが丁寧に書かれていていい本だと思ったんだけど。あれ、レビュー評価あんまり高くないですね。。もう1回読みたいです。

【047】『窓際OL 親と上司は選べない』 ★★★☆☆

89歳まで世界108カ国を飛び回ったという輝子おばあちゃんをロールモデルにします!

Indiespensable

Powell's Booksという本屋さんで頼んでいた、『Indiespensable』、届きました!

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か、かわいい…

ちっとも読書、進んでませんが本はどんどん増えていきます…。

さて、このシリーズ、1ヵ月半ごとに、新刊の豪華装丁本(著者のサインつき)+その本にちなんだグッズをいくつか、というのがおまかせで届く、というもの。送られてくるまでは、メインの本が何であるかしかわかりません。1回40ドル弱、とちょっと高いかなあと思ったのですが、「1年に8.6回、お誕生日プレゼントが届くようなものです!」というキャッチコピーに肩を押されて、オーダーしてしまいました。

この本屋さん、日本にAmazon.co.jpができる前からよく使っていました。というのも、米国Amazonは送料を取るのに対して、Powell'sは「50ドル以上買うと外国でも無料配送!」キャンペーンをよくやっていたからです。頼んでから3週間くらいかかるんだけどね。。でも、昔から、買ってすぐ読むわけでもなかったし^^ノープロブレムです。

この号は、『The Particular Sadness of Lemon Cake』(レモンケーキの特別な哀しみ)という本がメインで、おまけはなんと、2010年10月発売予定のMyla Goldberg著『The False Friend』がついてくる、というものでした。表紙には「非売品」、裏表紙には「予定価格USD22.95」とプリントされてます。発売3ヶ月前にリリースしちゃうなんてすごいですね~。こういうところで魅力を出せるかがインディペンデント系の本屋さんの勝負のしどころでしょうか。あとのおまけは、『レモンケーキ…』の著者のインタビューカードと、まもなく復刻版が発売開始になるという『The Hour: A Cocktail Manifesto』のオリジナル版の表紙をあしらったコースター。

ちなみに、この号(Voi.19)はこのかわいい表紙がうけたのか、かなり早くからSold Outでした。

さて、読まないといけないものはいっぱいあるのに、「発売3ヶ月前にお届け」というアイデアにつられて早く読まなくては、という気になり、『The False Friend』を読んでいます。なかなかおもしろくって、半分ちょっと読みました。ジュンパ・ラヒリは中断中…。

本もぼちぼち

こっちにきたら、日本語の本も英語の本もたくさん読むぞー、と思っていたのに思ったほど読めていません。理由は、①地下鉄が暗い、②通勤時間が短い(片道電車7分)、③仕事で文献を大量に読んでいるので家に帰ってからあんまり読む気がしない、あたりでしょうか。

でも、本屋さんで平積みになっていたこの本、夜にちょこっとずつ読んでて、読了しました。

◇The Girl Who Fell from the Sky  ★★★☆☆

記念すべき1冊目だったのに、うーん。

ねたばれになってしまうとよくないので詳細には踏み込みませんが、「GIのブラックの父とデンマーク人の母の間に生まれた、ブルーの瞳が美しい、褐色の肌の美少女が自らのアイデンティティに思い悩む話」なのですが、彼女の美しさの表現が一本調子(「beautiful」とか「pretty」とかだけなんだもん)だし、そもそも、白人の属性(たとえば、ブルーの瞳)を美の象徴として強調しすぎていて、結局、白人に近いほうがきれいっていう価値観なんだなあ、古いなあ、という印象。人種にかかわららず、きれいな人はきれいだし、それなりの人はそれなり、だと思うんだけど。著者をみたら、案の定白人だった。

と、いまひとつ最後まで腑に落ちなかったので★3つ。

次は、大御所、ジュンパ・ラヒリの一番新しいの(といっても2年位前の発売ですが)『Unaccustomed Earth』 を読み始めました。まだ読みはじめですが、さすがの安定感と、豊かな表現力にうっとり。うーん楽しみ

すっごい偶然!

すっごい偶然!
きょう見つけたかなりいい本屋さんで「Congress for Dummies」(サルでもわかる国会)があって、あーよくわかんないから今度買うか図書館で借りようかな、と思って帰宅したら、なんとアパートに「ご自由にお持ちください」と書かれた段ボールがあって、一番うえにこの本が乗ってました!ほかにもおもしろそうな本があったのでまとめてもらってきちゃいました。「ほしいなあ」と思ったものがその日のうちにたまたま手に入るなんてすごい偶然。大事に読みます!